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音を作る 木村哲人著 [2:録音技術関連]

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テレビの音響マン(効果音担当)だった著者による、音の作りかたについていろいろな角度から綴った本。

趣味で自分の弾くギターの音を録音していて、録音の勘所が分からずにに苦労した経験があるため、「なるほど!」と感じる項目が多々ありました。ギター録音のような上品な録音の雰囲気しか知らなかったので、マイクで物を潰しながら録音するといったような過激な録音方法に驚きました!

この本では「音作りにおける勘所」をを中心にチェックしてみました。



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【ノート】

・効果マンの待遇
映画、放送の世界では音響を担当する「効果マン」はかつていわれのない差別を受けた。著者は名人芸の効果マンが次々と廃業するのにたまりかねて音作りを習うことにした。著者の本業はミキサーである。


・音作りの基本
現実の音はそのまま録音するとリアリティーがない。スタジオで作りこんだ音の方が本物に聞こえるからおもしろい。


・ハリウッドからやってきたリックに教わったこと
映画の音には「アクセント」が必要である。馬のヒズメでも一つは弱く、二つは強く、というふうに音の強弱で演出することが大事。

日本のテクニックではこのアクセントがなく、代わりに音の終わりに神経を使う作り方である。


・水の音の録音
水の流れの音は、音質を調整すると大幅に音が変わる。低音をカットすれば早い瀬音に、高音をカットすればゆったりした流れになる。良い音をとるためには、水面すれすれにマイクを近づけて録音する。(→マイクの近接効果)


・マイクの近接効果
マイクの近接効果とは、音源の対象に近いほど低音が増強される現象のこと。

 

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【究極の近接効果】


・風の音の録音
「風の音は録音できない」とあきらめていたが、風が一年中吹きまくっている砂漠では風音がはっきり録音できることを知った。砂の粒子が空中でぶつかりあって音をたてるらしい。


・映画「七人の侍」
「七人の侍」では、効果マンの三縄一郎氏が録音技師を指揮した。地面に水をまいてドロドロにした中、マイクを横一列に並べ、十数頭の馬が駆け抜ける音を録った。


・アメリカ映画の音がよい理由
アメリカ映画の音が良い理由は、映画全体の母体が音響メーカーであるため。(WE、RCAなど)


・シネ・モービル
シネ・モービルは機材の小型化から生まれた。以下の機材が小型化に貢献している。
 - 小型ズームレンズとクオーツモーター。
 - 高感度フィルム(富士フィルムが開発)
 - 周囲の雑音をカットするガン・マイク。
 - 超小型ピン・マイク(ソニーが開発)
 - 超小型映画用録音機(スイスのナグラ・クデルスキイ)


・ゴジラの鳴き声
ゴジラの音の担当は、三縄一郎氏(東宝)コンドラバスに動物の声を重ねて合成した。


・インタビューでのマイクの位置
録音技師はインタビューの際にマイクの位置に「命をかけて」いる。マイクの性質に合わせて位置と角度を決める。


・マイクの生産国
日本は世界一のマイク生産国で、全世界の80%を作っている。プロ用、特に音楽用は西ドイツやオーストリアにかなわない。これらの高級マイクは職人の手作りである。


・恐竜の声をつくる
聞いたこともない恐竜の声を作るも効果マンの仕事。種々の音源をそのまま重ねて使うのではなく、録音テープの回転を速くしたり遅くしたりして音を作り上げる。
恐竜の鳴き声づくりでは、犬、ゴリラ、像の三つをまとめて一つの鳴き声に仕上げた。この場合、ただ重ねるだけではダメで、少しずつズラして音を組み合わせるのがコツ。
ゴリラの「グアッ」という部分を最初に、犬の「ギャオーン」という音を0.3秒ほど後にする。中ごろから最後の部分に像の「グオー」という声を混合する。こうして重ねた音に反響をつけ、低音を強調すると恐竜の声になる。


(2009/3/18記)


 

音を作る―TV・映画の音の秘密

音を作る―TV・映画の音の秘密

  • 作者: 木村 哲人
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 1991/07
  • メディア: 単行本

 

 


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