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【レビュー】『楽器作りの匠たち』 [3:音響関連]

  <楽器作りに従事する職人たちの活躍をまとめた本。>

パイプオルガン、チェンバロ、ヴィオラ・ダ・ガンバの製作者へのインタビュー記事。楽器の素材として重要な「木材」について、その選び方、製作過程、そして音への影響について様々なコメントがあります。

木を使った楽器を扱っている方にはぜひ一読をおすすめしたい一冊。 
 
永田穂氏による「響きをつくる」の記事も、「好ましい音響とは何か?」を考える上で参考になります。

音響について 美しい音の響きとは?



  
<メモ>


   
・パイプオルガン マノ・オルゲバウ 松崎譲二・中里威

パイプオルガンではナラの木を使う。節のない素直な木を選ぶ。外国産の木材は、日本の風土に慣らすために日本産の木材よりも長く寝かせてから使わなくてはならない。
 
発音が速いと鋭い音に、遅いと柔らかい甘い音に聞こえる。
 
“雑音”が入っていないと、生きた楽器の音にならない。
 
 

・チェンバロ 佐藤裕一
 
木の乾燥については、水分と樹脂分の両方について考えなければならない。材が厚くなればなるほど樹脂分の安定に時間がかかる。
 
倍音のコントロールが大事。欲しい倍音と欲しくない倍音がある。


 

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音楽の匠シリーズ 楽器づくりの匠たち ヴィオラダガンバ・チェンバロ・パイプオルガン

音楽の匠シリーズ 楽器づくりの匠たち ヴィオラダガンバ・チェンバロ・パイプオルガン

  • 作者: 「楽器の匠」編集委員会
  • 出版社/メーカー: ヤマハミュージックメディア
  • 発売日: 2004/04/21
  • メディア: 単行本

 

音楽の匠シリーズ 邦楽器づくりの匠たち 笛、太鼓、三味線、箏、尺八

音楽の匠シリーズ 邦楽器づくりの匠たち 笛、太鼓、三味線、箏、尺八

  • 作者: 奈良部和美
  • 出版社/メーカー: ヤマハミュージックメディア
  • 発売日: 2004/06/07
  • メディア: 単行本
 
 

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まるごとピアノの本 足立博著 [3:音響関連]

 

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ピアノの構造と音の関係に興味を持ったので、この本をチェックしてみました。  

ピアノメーカーによりピアノの設計や材料選択に違いがあり、それがピアノの音色や音の反応性の差につながっている点が面白いです。ギターもピアノもスプルースの響板を通じて弦の振動を空気中に伝達する点が共通ですので、ギターの構造と音色を考えるうえでも参考になりました。

 

piano1_450.jpg
  

   

<メ モ>

・響板の見方
いい響板は木目が細かく揃っていて、全体に白っぽい色をしている。無垢板か合板かを判別するには、響板を貫通している穴の木口面を観察してみる。(合板は板がサンドイッチになっている。)

響板を軽くノックした時に、コーンコーンと澄んだ音が長く響くのは優れた響板で、ボテッといった音で消えてしまうのはダメ響板。

・音色のチェック
半音階を繰り返し弾いてみて、音色にふぞろいがないか、音質が極端に変わっていないか確かめる。澄んだ音、濁った音、硬い音、柔らかい音が音程によってばらばらに出ていないか調べる。
済んだ柔らかい音か、あるいは澄んだ硬い音がすべての音階で出ていて、それがよく伸びるピアノが理想的。

 

 


 
~ピアノメーカーの音の傾向と特徴~

 

・ヤマハ
とても品質が揃っている点が特徴。タッチはとても滑らかで、多少乱暴に弾いても音が乱れない。
ドイツのピアノにはドイツ伝統の重厚な雰囲気、フランスのピアノにはフランスの粋な香り、イタリアやアメリカのピアノにはそれぞれの明るい気風がある。その点、ヤマハのピアノは渋くて地味な響き。

・カワイ
哀愁をおびた日本的な香りがあるが、同時に色彩があり華がある。

 カワイのピアノ製造工程

 

 
・シュバイツアスタイン
さまざまな特許が織り込まれた手作りピアノ。


・山本DS響板:響棒に手彫りでダイヤモンドカットの加工を施して音響特性を改善。普通の響棒の3~4倍の持続音。


・スパイラル特殊響板:響板に放射状に響棒を配置。低音、中音、高音の音色を均質化。

  

・シュベスター
今日ではルーマニア産の響板が入手困難になったため、アラスカ産のスプルースが使用されることが多いのだが、これはピアノの響板としては少し硬すぎる問題がある。シュベスターでは、入手しにくいが響板としては理想とされる北海道のエゾマツを採用している。

最近ではピアノの音量を増すため、弦の張力を平均90kg程度にまで高めることが多いのだが、シュベスターの場合は平均70kg程度に抑え、なおかつ豊かで華麗な音が出せるように工夫されている。

  

・スタインウェイ・アンド・サンズ
音色は美しく、クラッシックやジャズ、ポップスなどどんな音楽にも対応できるのが特徴。

材料と部品にはすべて響きに貢献するものだけを厳選して使用し、また接合部には木製のダボだけが使用されている。使用される木材は厳選された無垢の木材を約2年間自然乾燥して熟成を待って使用される。

響板には大きな特徴があり、端にいくに従って薄くなるように加工され、独特のクラウン(湾曲した構造)を構成している。

スタインウェイはフレーム(鉄骨)も鳴らせると言われる。

デュープレックス・スケール:弦の前後(駒からピッチピンまでの間、また駒からチューニングピンまでの間)に共鳴する部分を設けている。

  

・C.ベヒシュタイン
美しい音色を引き出すために、タッチに神経をはらう必要があるピアノ。特に低音や中低音はとても豊かに鳴るため、高音や中高音とのバランスを考えながら左手を制御する必要がある。

箱全体が共鳴するため、音の立ち上がりは比較的ゆったりとしていて、そのぶん音の持続はかなり長いというパイプオルガンに似た特性を持っている。

構造的な特徴として、他のほとんどのピアノメーカーのように金属フレームやケースを鳴らすというのをあえて避け、響板だけを純粋に鳴らすよう設計されている。こうする目的は、音の反応をできるだけよくしようというもので、これが音の立ち上がりの鋭さやタッチに敏感だという特性の鍵になっている。

   

・ベーゼンドルファー
響板は、ヨーロッパ産の優れた部材が入手しにくくなり、今日ではおもにアラスカ産のスプルースが使用されるのが普通で、これは響板としては少し堅すぎる点が指摘されているが、ベーゼンドルファーの場合にはいまなおアルプス山麓のフィヒテ(トウヒの一種)が使用されている。

ピアノ全体を楽器ととらえていて、響板だけを響かせるのではなく、ピアノケース全体を共鳴箱として響かせるように設計されている。ただ金属フレームは共鳴体としてではなく、あくまでフレームとして考えて、ここは頑丈に造って純粋に木の部分だけを楽器としてとらえて響かせようという設計。

金属フレームも鳴らせようとするスタインウェイや、とくに響板だけの響きを追求したベヒシュタインとは異なる設計思想。

他社のピアノでは、ケース自体は頑丈な合板をグランドピアノの形に大きな力で曲げて造られるのが普通で、これは弦の張力を支える役目も担っている。しかし、ベーゼンドルファーの場合には、合板は使用せずに響板と同じフィヒテの無垢版がケースにも使用されている。しかも、ケースに緊張を与えないために板の内側に細かい切込みを入れて、いわばダンボール上に成型して、無理に曲げることなくグランドピアノの形に造られている。このような構造だと、弦の張力を支える力はケースにはないため支柱(ピアノの屋台骨)で支えることになるのだが、ベーゼンドルファーの場合には、この部分にも他社のようにカエデ系の堅くて重い部材を使用せず、あえて響板と同じフィヒテを使用して響きを重視した設計になっている。

さらに、フィヒテで張力を支えるために、その支柱の構造は、家の床組みのように頑丈な井桁状に組まれている。また、使用される木材は今日では乾燥室で熱や高周波をかけて短時間で強制的に乾燥させることが多いのだが、ベーゼンドルファーの場合には、約六年間屋外で天然乾燥させて、そのうえ乾燥室で微調整している。

金属フレームについても、鋳造後約六ヶ月間は放置して、材質が安定してから使用している。

 


  

まるごとピアノの本

まるごとピアノの本

  • 作者: 足立 博
  • 出版社/メーカー: 青弓社
  • 発売日: 2002/05
  • メディア: 単行本

 

 



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日本のピアノ100年―ピアノづくりに賭けた人々 [3:音響関連]

 

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オルガン制作に端を発した日本のピアノ製造の歴史をたどった本。戦前は景気の動向や世界大戦にほんろうされ、戦後はピアノの輸出大国になった日本の姿が描かれています。特にヤマハにおける製造工程の変遷が興味深いものがありました。

 


 

◎メモ

・スタインウェイは合理的な生産体制を導入した。木材のシーズニングといった感想技術を科学的に分析して品質管理を徹底していた。

 

・1915年にスタインウェイで1年間学んだ福島琢郎のコメント。

日本のエゾ松で製作する響板は、アメリカのそれとは違っていて、木が堅い。「日本で採れる木のものは、どれも皆何と言い表していいか、 カキクケコ というような音が出る。あちらのは パピプペポ のような音が出て、同じこしらえ方でありましてもそういう風で、日本の木そのものがどうも膨らみのある音が出ない。」

 

 

・日本楽器の川上嘉市の提案で、日本楽器では1920年頃に振動音をマイクで拾ってオシログラフで解析する方法を導入した。

 

 ・大橋幡岩による「シュレーゲル氏報告書より」から。

「日本に産する木材は、大陸に産する木材に比して樹脂多く、かつその生育の状態および性質、組成を異にするが故に、これを響板に使用し、標準的弦の長さを与うるも、予期せる如き充分なる共鳴を得る能わず、音が響板に固着して、いわゆる尻消えとなる傾向あり。」

    →このため、弦をやや長くして問題を解決した。

     ※ピアノ製作の技術指導のため日本楽器に招聘された技師。

 

 

・原信義のコメント

初期の日本のピアノは、特に「側鳴り」、つまり近くで聞けば大きな音がするのに、少に離れると音が割れる欠点がある。

 

・響板の乾燥方法と音の関係

ヨーロッパに留学した杵淵直知は、日本のピアノと西洋のピアノの音の違いは、主に木材の取り扱いにあると考えた。「木というものは野性のもので、それを野性のままでは使えないから、日本では殺し気味にして使う。ところが、ヨーロッパではその野性の特色を生かしながら飼い慣らして使う。」

ヨーロッパでは場合によっては10年以上も木材を寝かすが、日本ではわずかな時間に製品化してしまう。

【例】

[グロトリアン]

10ミリの厚さに仕上がる響板をまず16ミリに製材し、「1センチ1年」といって約1年半にわたって天然乾燥したのち、四週間にわたって40℃に達しない温度でゆっくりと含水率5パーセントまで水分を落とし、それからさらに38-9℃に保ってブラインドを下ろした材料倉庫で六年間にわたって寝かせる。

 

[日本のメーカー]

響板が厚すぎるとピアノが鳴らないことから、製材時で11ミリ、仕上がりで8.5~9.0ミリとするピアノが多く、乾燥の方法にしても、アップライトの普及品の場合、120℃の高温でわずか12時間で含水率を6パーセントまで落とす、といった方法がとられることも珍しくなかった。

 

 ・実験計画法

昭和三十年代前半から日本楽器では「実験計画法」を取り入れていた。また「よい音とは」という命題を定量化するために、「音響心理学」「音響生理学]を使って、計測器では得ることのできなかった芸術的な評価を数値化する方法論を確立していった。

  

 


以前、ヤマハにおけるアコースティックギターの開発について調べていた際、開発の初期メンバーに木本氏、玉有氏といったピアノの開発を経験した方が開発に携わっていたことや、実験計画法を使って構造がギターの音に及ぼす影響を調べたことを知りました。ヤマハのギターにはピアノ開発の技術が大きな影響を与えていたようです。

 


 

日本のピアノ100年―ピアノづくりに賭けた人々

日本のピアノ100年―ピアノづくりに賭けた人々

  • 作者: 前間 孝則; 岩野 裕一
  • 出版社/メーカー: 草思社
  • 発売日: 2001/10/01
  • メディア: 単行本

 

 

 

 

 



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車室内における快適音響空間創造技術 加藤茂樹著 自動車技術 vol.62, No.2,2008  [3:音響関連]

雑誌「自動車技術」に掲載されていた記事。以前から気になっていたスピーカー「タイムドメイン」が紹介されていたのでチェックしてみました。著者は富士通テンの方です。

 



<ノート>


・車室内の音響的課題点
 - 空間が狭い。
 - スピーカーの設置が制約される。
 - 走行騒音がある。

・タイムドメイン理論
由井啓之氏が提唱する考え方。


従来のオーディオ:周波数特性を重視した設計。いかにフラットに低音から高音まで歪みを少なく再生するか、に重点を置く。

タイムドメイン:時間特性を重視。音の発生から消滅まで、空気の動きをいかに正確に再現するか、に重点を置く。

・タイムドメインの音の特徴
1.明瞭度が向上。
2.スピード感が向上。音声信号の立ち上がりがほぼそのまま再生されるため、生の楽器に近いキレのよい音になる。
3.空間再現性が向上。従来型スピーカーに比べて音像の定位感がシャープになり、音がスピーカーからではなく、空間から聞こえる感じが強まる。

・車室内のリスニング環境の制御
インパルス応答を比較すると、通常のリスニングルームと比較して、車室内では反射音が20ms以内の短い時間に集中する。車室内でリスニングルームの拡がり感を付与するために、以下のアプローチが考えられる。
①「狭さ感」を生じる不要反射音や振動音を抑制する。
②「拡がり感」を得る新たな反射音を付加する。



<参考>

・自動車技術会
 http://www.jsae.or.jp/

・タイムドメイン
 http://www.timedomain.co.jp/

・富士通テン 音響開発センター
 http://www.fujitsu-ten.co.jp/oto/creation/acoustics/



・タイムドメイン関連のスピーカー

TIMEDOMAIN mini

TIMEDOMAIN mini

TIMEDOMAIN light

TIMEDOMAIN light

  • 出版社/メーカー: TIMEDOMAIN
  • メディア: エレクトロニクス

 

maxell タイムドメインスピーカー iPodコネクタ対応 MXSP-4000.TD

maxell タイムドメインスピーカー iPodコネクタ対応 MXSP-4000.TD

  • 出版社/メーカー: 日立マクセル
  • メディア: エレクトロニクス

 

 

 

 



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ゴルフクラブの快適音を科学する 岩田弘、四宮雅泰著 自動車技術 vol.60, No.4,2006  [3:音響関連]

道具音響設計の例として、ゴルフクラブの快音化技術について調べてみました。


<ノート>

・ゴルフ打撃音の主な音源
 ヘッド、炸裂音、ボール

・クラブヘッドの振動
クラブヘッドは中空殻なので、人の可聴周波数帯内に多くの振動モードが存在する。うまく当たった時とミスショットの時でクラブヘッドの振動モードが異なるため、打撃音に違いが生じる。

 

・ヘッド材質と音の関係
1.パーシモン(柿の木)
ヘッドが減衰能の大きい樹木で、かつ中実構造なので、音圧、残響とも小さい。
2.メタルウッド(ステンレス鋼、アルミ、チタン合金)
中空構造なので、音圧、残響とも大きくなる。なかでもスーパーハイテンという特殊な高張力鋼の場合はこの傾向が特に顕著となり、そのスペクトルも高周波成分を多く含むなど、全体として豊かな音を発する。

 

(2009/5/22記)


 


自動車技術会
 http://www.jsae.or.jp/



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ヒトの聴覚モデルとディーゼルの音質評価法 中島一博、佐々木克著 自動車技術 vol.60, No.4,2006  [3:音響関連]

ディーゼルエンジンの音質評価法について述べた論文。ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの構造の違いに由来する音質の違いが分かり、興味深い内容でした。


<ノート>

・ディーゼル音質の特徴
 中低速回転域で騒音レベルがガソリン車より3~6dB高い。
 圧縮着火燃焼方式に由来する衝撃的な燃焼騒音。
 機械騒音が大きい。

・擬音語
日本語韓国語に次いで擬音語の数が多い。(辞書ベースで1200語以上、英語は350語。)

・音の知覚
ヒトが音を知覚するときは、その周波数情報だけでなく、その時間的な変化から強く印象を受ける。時間と周波数の両面からのアプローチが音質評価に適する。

・人の聴感の特徴
音の立ち上がりに敏感である一方で応答の抜けが遅い。(マスキングの原因)

(2009/5/22記)


自動車技術会

 http://www.jsae.or.jp/

 

 

 



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自動車のサウンドデザイン 石濱正男著 自動車技術 vol.62,No.2,2008. [3:音響関連]

音響関連の本を読んでいて、自動車や家電製品で音のデザインを行なっているという説明を何度か目にしています。そこで、自動車のサウンドデザインについて調べてみました。

最近は環境への関心の高まりから、トヨタのプリウスやホンダのインサイトが売り上げを伸ばしています。ハイブリッド車はモーター走行時に走行音が静か過ぎて歩行者に気づかれないという問題が出てきているようなので、ハイブリッド自動車の走行音作りが各メーカーの課題になってくるかもしれません。


 

<ノート>

・自動車のサウンドデザイン
音は製品の正確を表現する。製品に期待される固有の音がある。
自動車のハードウェアと、それが使われる環境、運転方法、感じる人間、それらを全部含めたものがサウンドデザインとなる。

計測器による音質測定
マイクで収録した音の波形を信号処理し、人間の判断に近い指標とする。指標は以下のようなものがある。
◎騒音レベル
人の聴覚特性を表現した周波数フィルタ(A特性)を通した指標。
◎ラウドネス
音のマスキング効果を考慮して、多くの周波数成分を含む騒音の「大きさ」を表現する。
◎ラフネス
音の粗さを表現する指標。2つの異なる周波数の音を別の音として聞き分けられる周波数間隔を「臨界帯域幅」と呼び、この帯域に2つの音が存在すると、混ざって粗い感じを与える。ピアノで半音あるいは1音上のキーを同時に叩くと濁った音、粗い音が聞こえるが、これを「ラフネスが大きい」と表現する。
シャープネス
騒音を構成する周波数成分の中で、1kHz以上の高周波成分の割合を示す指標。「金属感」と対応。
◎変動感
振幅の変動する音。「うなり」や風音の息つきなど。
◎トーナリティー
騒音の成分のうち、周期的成分の割合を示す指標。

・ラフネスの発生例
「かさかさ」、「ごろごろ」した粗い音は嫌われたりする一方でパワー間を与える要素でもあり、注目される現象。近寄った周波数成分があると発生する。重なり合う高調波であれば濁らない和音となるが、近い周波数成分が重なり合うとラフネス、粗さが生じる。

原因の例
 - エンジンの気筒ごとに生ずる燃焼音の不揃い。
 - 回転体の振動。(クランク軸など)


・遮音から吸音へ
従来の車室の音響設計は、外部騒音の侵入を極力防ぐ「遮音」を重視してきた。しかし、遮音には壁の密度が高くなければならず、軽量化とは相反する。そこで、騒音の侵入はある程度覚悟し、その代わり軽量の吸音材を多用して多用してすぐに音を減衰させる、という考え方が生まれてきた。つまり初期振幅小で長く続く波形よりも初期振幅大で短時間に収束する波形を選ぶ設計。感覚的には「抜けが良い」という表現。

→自動車防音技術はメーカーによって設計思想が異なる。例えばBMWは今でも遮音材一本であり、車内はゴムの遮音材で覆われ、吸音材は一切使っていない。(クルマはかくして作られる 3

 

<参考>

排気音のサウンドデザイン(超クルマはかくして作られる)

 



・自動車技術会
 http://www.jsae.or.jp/

 

 



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クルマはかくして作られる 3 福野 礼一郎 著  [3:音響関連]

クルマの部材メーカー生産現場を見て回ったルポの第3作。

音響関連では、防音材(日本特殊塗料/中外)と防振ゴム(東海ゴム工業)が取り上げられています。

防音材のページでは音の基礎から説明されていて、周波数と音圧の関係および騒音と周波数の関係のグラフが掲載されており、音響の基礎知識がなくても分かるように配慮されています。

これまでに出版されている二冊と合わせていずれもお勧めのシリーズです。

 


 

<ノート>

・防音材について
車には多くの制振・遮音・吸音材が使われている。
防音技術は以下の3つに分けられる。


 ①制振:固体伝播音を低下させる。
 ②遮音:音の通過を抑制する。
 ③吸音:音が吸音材の内部を通過する際に材の振動や摩擦によって振動エネルギーを熱エネルギーに変換する。

・吸収する音の振動領域
 -制振材:100-700Hzの低中周波で有効。
 -遮音材:~5000Hzくらいまでの中高周波域で有効。
 -吸音材:100-10kHzの広い範囲で有効。とりわけ高周波域に強い。

 ・遮音材中心の考え方から吸音材中心の防音対策へ
現在の車のトレンドは遮音材から吸音材に変化している。ただし、自動車防音技術はメーカーによって設計思想が異なる。例えばBMWは今でも遮音材一本であり、車内はゴムの遮音材で覆われ、吸音材は一切使っていない。理由として、ひとつはディーゼル車における防音性能を向上させるためと見られるが、会話明瞭度を重視しているからとも考えられるという。

防音対策の有効周波数域をみると、制振材はおよそ100~700Hz付近の低中周波で効果を発揮し、遮音材はその上の5000Hzくらいまでの中高周波域に強い。吸音材は1000~10KHzという広い範囲で性能を発揮するが、とりわけ高周波域に強い性質を持つ。しかしその周波数域には会話の声の成分も含まれているので、最適化をしない限り吸音材は会話の音の成分の一部も吸収してしまうため、吸音材を多用すると車内での会話の声が聞き取りにくいという傾向が出やすい。

レクサスLS460には遮音材、吸音材、制振材がフルに使われており、その重量はスリムな男性の体重ぐらいに達するという。(50~60kgぐらいか?)この値は遮音材のみで対応しているBMW7シリーズとおおよそ一致するらしい。クラウンはどちらかというと遮音中心の防音であるが、防音材全体の重量はレクサスの65%ほどだという。

・ゴムの物性
ゴムの最も重要な性質は「弾性」。ゴムの弾性は分子の熱運動に起因する。
ゴムを塑性変形させると、弾性エネルギーの一部は熱となって発散されるため、ゴムは温かくなる。また、そのため完全に元の姿に戻らない。このとき損失しない弾性エネルギーと損失するエネルギーの比をタンデルタ(tanδ)という。

 →「tanδ」に関しては、ギター木材に適用して考察した論文があります。

「スギ一般材からの高性能音響材料の製造」 京都府立大農学部 矢野浩之氏(1996年)

 
(2009/5/19記)

 


 

クルマはかくして作られる 3 (3) (別冊CG)

クルマはかくして作られる 3 (3) (別冊CG)

  • 作者: 福野 礼一郎
  • 出版社/メーカー: 二玄社
  • 発売日: 2009/03
  • メディア: 大型本

 

 



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超 クルマはかくして作られる (別冊CG)  福野礼一郎著 [3:音響関連]

クルマはかくして作られる」の続編として登場した、クルマの部品の生産現場のルポ集。

部品の開発・生産の現場を通じて、日本の「ものづくり」の奥底にあるスピリッツを感じることができる良書だと思います。自分も材料の生産現場に関わっているので、工場の風景写真や綿密に取材されたノウハウのひとつひとつが面白く、何度読んでも飽きない一冊になっています。

「車と音楽には何の関係もないのでは?」と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、実は音響の技術は車の快適化と密接な関係があります。

この「超クルマはかくして作られる」では、排気管メーカー「株式会社三五」が紹介されていますが、そこに出てくるのは複雑なマフラーを加工する技術と、排気音の消音化および快音化の技術。楽器音とは違った「音」の一面を感じることができます。


  

<ノート>

・イントロより
株式会社三五(さんご)実験部の音色評価室には高級オーディオシステムがでんと設置されていた。「排気音のデザイン」のために、ここで音色評価エンジニアの育成をしているのだという。音楽やさまざまな音を再生して周波数や音圧レベル、周波数分布などを聞き分ける訓練をする。

その評価室でフェラーリ456GTのエグゾーストノートの採録音を聴いた。

シャーン、シャーン、シャーン。

「そもそも音色とは音の何なのですか」
「ある周波数が強調された音のことです。すべての周波数で音圧を下げればそれが消音です」黒田修実験部長は間髪入れずに答えた。
「先ほど聴いたフェラーリの音、ではあの音はどこがどのように強調されてできた音色なのでしょう」
「爆発1次の周波数成分が顕著にでている音色ですね。回転が変わってもそれが持続するのが特徴です。吸気音も意図的に出しています。ついでに申しますとオルタネーターのファンの音ですね。オルタネーターのファン形状をうまくチューニングしてやるといいエンジン音になるんですよ(笑)」

YouTubeでフェラーリ456GTの音を探してみました。下の動画を再生すると、1分30秒あたりからエンジン音が聞けます。


・排気システム
排気温が高いと触媒の作動効率が上がるが、逆に消音するためには温度は低い方がよい。排気温度を200℃下げると、騒音が5~6dB低減される。


・排気系からの騒音
排気系からの騒音は2系統に分けられる。
①排気系吐出音
エンジンからの脈動圧力波と気流音(流速の速いガスが細いパイプ内を通過する際に発生する高周波音)
②排気系表面放射音
パイプやマフラーの壁を透過して出てくる透過音と排気脈動がマフラーを加振させて出す振動放射音。


・消音の原理
4つに分けられる。


①吸音:マフラー内にグラスウール、ロービングクール、バサルトウールなどの吸音材を入れ、排気エネルギーによってその細い繊維を振動させて中高周波の振動エネルギーを減衰させる(=消音)理屈である。したがって200Hz以下の低周波は消音できない。


②共鳴:レゾネーターと呼ぶ行き止まり式の部屋(共鳴室)をマフラー内に設け、エンジン側から来た排気のパイプを接続し、パイプ出口と共鳴室との空気の間で音波を行き来させながら、そのエネルギーを摩擦抵抗によって損耗させ消音する。共鳴消音は100Hz以下の低周波の消音に効果がある。


③拡張:パイプの断面積が急拡大する部位を設けておくと、排気ガスが拡張し、このとき音がマフラー内部の壁に反射してエネルギーを奪われ消音される。広い周波数の音が低減できるためマフラー内部では何度か繰り返して拡張消音を使うことがある。


④干渉:メカニカル型と電子式のふたつが考えられている。メカニカル型とは排気ガスの流路を二股に分岐させ、流路の長さの違いによって生じる音の位相差を利用して互いの騒音を干渉させ消音する方法。電子式はマフラー内部にスピーカーを設置し、排気音をマイクで拾って周波数と音圧を測定し、同音圧で逆位相の音をスピーカーから出して干渉消音する方式。


・株式会社三五(音色研究紹介)
http://www.sango.jp/japanese/products/sound/index.html


(2008/4/25記)

 


 

超クルマはかくして作られる (別冊CG)

超クルマはかくして作られる (別冊CG)

  • 作者: 福野 礼一郎
  • 出版社/メーカー: 二玄社
  • 発売日: 2003/01
  • メディア: 大型本

 

 


シリーズ第一巻の「クルマはかくして作られる」も中身の濃い一冊。ウッドパネルの生産でヤマハが紹介されています。

 

クルマはかくして作られる―いかにして自動車の部品は設計され生産されているのか (別冊CG)

クルマはかくして作られる―いかにして自動車の部品は設計され生産されているのか (別冊CG)

  • 作者: 福野 礼一郎
  • 出版社/メーカー: 二玄社
  • 発売日: 2001/04
  • メディア: 大型本

 

 


音響エレクトロニクス 大賀 寿郎 斎藤 繁実 鎌倉 友男 武田 一哉 共著 [3:音響関連]

音響学は音に関わる学際的な研究分野。物理・化学から工学、医学、そして心理学まで多方面にまたがる極めて広範囲で学際的な学問体系です。この本では、音響の基礎である振動や波動の解説から音響の応用分野まで、数式を交えながらまとめられています。

音響や回路について物理的な裏付けを確認しながら理解したい方に向いていると思います。(わたしにはちょっと難しすぎました・・・。)

音響機器の設計についての解説はしっかりしていて、オーディオの解説本をむよりこちらの方が理解しやすいと感じます。



<ノート>

ギターの音域
100Hz~800Hz程度。人の声もほぼ同じ周波数帯域に含まれる。


バイオリンの機構
弦が弓によって表板と平行の方向に励振されると、駒は全体が回転運動する。したがって、駒の両足は表板を逆位相に励振することになり、そのままでは音響反射率が低下する。駒の右足にある魂柱がこれを救済する。
柔らかい表板と裏板とが剛い魂柱で支えられているので、右足付近は振動しにくい。駒はこれを支点にして左足で表板の振動を励起している。左足の付近にある力木は表板の剛性を適度に増大させ、振動の伝達効率を上げる。このため魂柱の微妙な位置は楽器の音量や音色を大きく支配する。

(2009/5/1記)


 

音響エレクトロニクス―基礎と応用

音響エレクトロニクス―基礎と応用

 

 

 


音のなんでも小事典 日本音響学会編 [3:音響関連]

音に関してあらゆる項目が解説されている本。

音の基礎知識(音の物理、音の生理・心理)から楽音、音響機器まで扱われている範囲が広く、文章が分かっていることと分からないことが明確に区別されて記されているので、たいへん読みやすいです。

雑誌に載っているオーディオ評論家の文章を読んでいると、例えば「光ケーブルをプラスチック製から石英製に変えると音が良くなる」と書かれていて、読み手としては「デジタル信号なのに素材によって信号が変わるのか?」「具体的に信号波形はどう変化するのか?」「音が良くなるとはどういうメカニズムを考えているのか」といった疑問ばかり湧いてきて、読めば読むほどストレスがたまる一方でした。この本ではそういうストレスと無縁で、読後にスッキリしました。

「音響の基本が分かる本は何がいい?」と尋ねられたら真っ先に挙げたい一冊です。



<ノート>

・遮音性能
 一般に壁の遮音性能は、必ず低音域で悪く、高音域ほどよい。


・音の発生
振動する物体から音が発生する条件は、振動数(周波数)あるいは音の波長と、物体の大きさとの相対的な関係によって決まる。


・マスキング
ある音が別の音によって妨害され、聞き取りにくくなる現象。妨害音と目的音が同時に存在する場合および時間がずれている場合に生じる。例えば、大きな妨害音の直後には100ms程度のあいだマスキングが生じる。


・プロの声
男声においては、喉頭を下降させ、長くなった喉頭の部分で共鳴を起こさせている。共鳴によるホルマントは2400~3200Hz付近に現れる。アナウンサーの声はホルマントの移動がはっきりしている。普通の人は「音韻のなまけ現象」の影響で、ホルマントの移動がなまけたものになる。


日本語英語
アクセントをつける際、日本語では基本周波数を高くするが、英語では強弱でアクセントをつける。日本語では語りはじめのトーンが高く、終わりに向かって自然に低くなる。英語は主としてどの部分を強く発音するか、でアクセントをとる。


・音の高さ
音の高さには音色的な高さ(甲高さ)と、一オクターブごとにくるくると円を描く調性的な高さがある。後者は5000Hzを超えると判別が極めて難しくなる。


・純正律
現在の西洋音楽は平均律。純正律の三度音程や五度音程は美しく聞こえるが、「うなり」や「粗さ」がないので、「純粋すぎて物足りない」と感じる人たちも多いようだ。


楽器の演奏
演奏家達は意識的にずれやゆらぎを加えることで、芸術的な演奏を完成させている。
例:弦楽四重奏で2台のヴァイオリン同時に同じ音を弾く場合、2音のずれは30~50ms程度。もっとずれが大きくなると2音が同時に鳴っていないように感じられ、逆にもっと小さいと2音が融合して1台のヴァイオリンの音に感じられてしまう。またヴァイオリン協奏曲の演奏において、ソロのヴァイオリン奏者は他の楽器よりわざと高めに演奏する。自分の音がオーケストラの中のたくさんのヴァイオリンの音の中に埋没しないための工夫。


スピーカー
スピーカーは電気機器の中で極端に効率が低い。加えたエネルギーの約1%がやっと音のエネルギーに変換され、残りの99%は熱として消耗されてしまう。


・エレクトレット・コンデンサー・マイクロホン
1996年現在、世界で年間約5億本のマイクロホンが生産され、その99%以上がエレクトレット型であり、ほとんどすべてが日本の会社によって生産されている。


・聴力検査
簡易検査では1000Hzと4000Hzの純音を使う。もっと詳しく調べる場合、250、500、2000、8000Hzの純音を使う。


・難聴
音声の周波数帯において、若い人(18-24歳)の平均値より20デジベル以上、つまり音圧にして10倍以上強い音でないと聞き取れなくなった状態を難聴という。
騒音性難聴では、最初4kHz付近の聴力が低下し(この付近での聴覚の感度が最も高いためと考えられる)、さらに難聴が進むと高周波数側から聴力が低下する。


・ノイズの種類
①ホワイトノイズ
あわゆる周波数の成分をほぼ同量ずつ含む雑音。白色光がすべての波長の光を含むことにちなむ。
②ピンクノイズ(1/f雑音)
周波数に反比例して高い周波数の音ほど弱くなる雑音。周波数が低い音を波長が長い赤い光になぞらえて白色光より赤みがかかっていることの例え。


・振幅包絡(しんぷくほうらく)
振幅の変化に大局的に着目すると、ゆっくりとした変化の全体的な形を持っていることが分かる。これを振幅包絡という。この振幅包絡の違いが音色を大きく変えることがある。


・スペクトル包絡
周波数スペクトルの大局的な形。スペクトル包絡の山(ピーク)や谷(ディップ)はおとの聞こえ方を左右する重要な要素。グラフィックイコライザーは、このスペクトル包絡の変形によって、好みの音色へチューニングすることを目的としている。


・音の方向の認識
左右の耳に到達する音の位相差(時間差)と強度差が方向知覚の基本的な手がかりになる。

 

 (2009/4/29記)


 

 


よくわかる音響の基本と仕組み 若宮真一郎著 [3:音響関連]

音に関して「科学」「技術」「文化」の3つの観点から解説した本。

イラストやグラフが多用されており、音響に関する言葉が理解しやすい内容となっています。初心者向けの音響に関する解説書をいろいろ読んでみましたが、この本と「音のなんでも小事典」の2冊があれば全体像をつかめるのではないでしょうか。おすすめの一冊。

雑誌や本を読んでいると、楽器やCDの音質について「金属的な音」「抜けのよい音」「きれいな音」といった表現がなされることがあり、『この表現とマイクで録音された音源の波形曲線の形状をどのように結びつければいいのか?』とつねづね疑問に思っていました。

この「よくわかる音響の基本と仕組み」では、文章だけでなくイラストやグラフを多く用いることにより、直感的に音質を捉えるために必要な概念をとらえやすく工夫されています。ここでコツをつかめば、波形編集ソフトによる音質調整において大きな助けとなるでしょう。

特に印象に残ったのは、人の声や楽器音を特徴づける要素について。
例えば「あ、い、う、え、お」の母音と強調される周波数の関係図は分かりやすいものでした。1kHz付近の「第一ホルマント」と3kHz~4kHzの間の「第二ホルマント」の二つの領域での周波数ピークと母音の関係で母音が整理できるという考え方は、楽器の音色の解釈にも応用でき、音作りにおいて参考になります。

 



 

<ノート>

・音について
 音は空気の振動。(縦波・粗密波)
 複合音は純音の組み合わせに分解できる。


・ノイズ
 ノイズには「ホワイトノイズ」「ピンクノイズ」「バンドノイズ」などがある。 周波数帯に対する音圧の高さで分類される。


・球面波と平面波
 球面波は点音源。音源から離れるほどエネルギーが減衰する。
 平面波は面音源。距離を隔てても音が減衰しにくい。


・難聴
 難聴には2種類ある。
①感音性難聴
 ある周波数以下が聞こえない。

②伝音性難聴
 すべての音圧において、感知レベルが下がる。
 加齢により、特に1kHz以上の領域が聞こえにくくなる。


・音色
 音色を決める因子は3つ。
 1.金属性因子
 2.迫力因子
 3.美的因子・・・好ましい音:1kHz付近がピークの周波数分布。音圧レベルは中庸。高次倍音のレベルが小さい。


・鈍い音と鋭い音
 鈍い音は低周波数側の音圧が高く、鋭い音は逆の傾向。


・きれいな音と汚い音
 汚い音は周波数ピークが多く、きれいな音はピークが少ない。


・人の声
 ア・イ・ウ・エ・オの母音は、1~5kHz付近の周波数帯のピークの分布形態によって特徴づけられる。母音のスペクトル上でエネルギーの集中する場所を「ホルマント」と呼ぶ。ホルマントはオーボエ、バスーン、バイオリンなどの楽器音においてもみられ、楽器音の特徴を決める要素である。


・楽器音
 楽器音は「周波数スペクトル」と「振幅の時間エンベロープ」によって特徴づけられる。ピアノの低域の弦は棒の性質を帯びているため、低音の倍音がずれる。弦が細いと調波成分(倍音に関係する音)が出る。

 


 

 

 

 


図解雑学 音のしくみ 中村健太郎著 [3:音響関連]

タイトルの通り、音に関する基本的な事柄がイラストやグラフを交えながら解説されています。

音の世界は専門用語が多く、文章だけではなかなか具体的なイメージが出てこないので、音のイメージ作りをするうえでこういう本が手元に一冊あると助かります。

 


 


<ノート>

超音波と低音
超音波は直進性が高く、エネルギーを集中できる。低音は回折しやすい。


・ピッチ
ピッチとは、耳で聞き分けられる音の高さ。振幅の繰り返しパターンで決まる周波数に依存する。


・音の合成
自然な音にするために、適度に音を揺らしたり、倍音を少しだけずらしたりする。


・人間の耳の特性
①小さい音:聴神経が基底膜を助長するため、基底膜が高感度に反応する。
②大きい音:基底膜の反応が鈍い。
人間の聴覚範囲はかなり広い。ただし、音圧が10倍になったからといっても、感覚的には数倍にしか聞こえない。


・FMとAM
AMは周波数が一定で振幅が変化する。FMは振幅が一定で周波数が変化する。


・超音波洗浄の原理
振動により発生した空洞に水が流れ込んだ時に気泡が壊れる。この瞬間に大きな力が発生する。(キャビテーション)


・ロードノイズ
最近のアスファルト舗装道路では空隙が多く、音を吸収するため、ロードノイズが小さくなる。

(2008/2/10記)


音のしくみ (図解雑学)

音のしくみ (図解雑学)

 

 

 


楽器の物理学 N.H.フレッチャー/T.D.ロッシング著 [3:音響関連]

振動現象の基礎に始まり、様々な楽器発音現象に対する物理的な解釈について詳細にまとめられた本。

数式や定義についてすべてを理解することはとても不可能でしたが、弦楽器、打楽器等さまざまな楽器を対象に物理的な考察が行なわれており、楽器毎の特徴を比較しながら読むと楽しめます。

ここではギターに関する記述を拾ってみました。


<ノート>


・ギターの振動伝達

①高周波数側:弦→駒→表板
②低周波数側:弦→表板→空洞→響孔(サウンドホール)と弦→表板→側板→裏板

 

・表板の振動モード

周波数によって様々な振動モードをとる。
ギターのヘルムホルツ共振(=最も低い周波数のモード)は90-100Hz。

強い共振モード:多くのギターは100-200Hzの領域に強い3つの共振がある。マーチンD-28では、102Hz、193Hz、204Hz。後者の二つの周波数では、響孔の空気の運動が表板と同じ方向に動くので、音の強い放射が起こる。(0.1)型の運動は、ほとんどのギターで400Hz付近にきわめて強い共振を起こす。

 

・駒への入力と音

駒への入力時に、表板に対して、
①垂直方向に入力すると、アタックが強くて残響がすぐに収束する音。
②平行方向に入力すると、アタックが弱いが残響が継続する音。
③斜め45度に入力すると、①と②が混じった音。

 

(2008/3/16記)


楽器の物理学

楽器の物理学

 


音のふしぎ百科①、② 繁下和雄編 [3:音響関連]

図書館の子どもコーナーにあった本。音に関して気になる記事をメモしてみました。



<ノート>

・音の正体
音は空気の濃淡の繰り返し。


弦楽器
弦楽器は弦を弾く位置によって音色が変わる。
サドルから遠い部分:やわらかい音 弦全体の振動が強調される。
サドルに近い部分:小さい部分の振動(高周波)が強調されて、より硬い音になる。


ピアノ
クリストフォリにより、1700年頃に発明された。ハープシーコードでおとの強弱変化がつけられないことに不満を感じ、ダルシマーを参考に、弦をハンマーで打つ楽器を作った。もともとは“ピアノフォルテ”という名前だった。


・男女の声の違い
女性は男性より声帯の振動する回数が倍になる。(=1オクターブ高くなる。)


・人の話は何人まで聞けるか?
話している人の人数が3人以上になると、急に聞き取れなくなる。


・日本の音
虫の声のように、雑音にも美を感じるのが日本人の特徴。西洋の楽器はピッチが安定していて澄んだ音(楽音)を出すように作られているが、日本の楽器の中には雑音(ノイズ)のような音をわざわざ付け足すようにできているものもある。びわや三味線は、弦と柱(じ)や さお が触れてジジジーッという雑音が加わり、音に色合いをつけている。


・西洋の鐘と日本の鐘
西洋の鐘は表面がつるんとしており、楽音が出る。日本の寺の鐘は、表面の凹凸のためにいろいろな高さの音が同時に出るため、独特の響きとなる。


・バイオリンと三味線、筝、和太鼓の構造
バイオリンは胴のとがった部分に小さな三角形の空間ができ、それが高音を良く響かせている。三味線、筝、和太鼓には内側にノミで綾杉模様が彫ってあり、ここに小さな空間を作っている。


・演奏
演奏=play。演奏することと遊ぶことは英語では同義。遊びには「ゆとり」という意味がこめられている。楽器を演奏するということは、「心を解放してゆとりを持つ」ことにつながる。


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・音響デザイナー 今井裕氏のコメント
子供向けの番組の音にはとても注意している。
ロケットの発射音は、街の雑音を200以上重ねて作った。
ときどき屋久島に行き、森に入って朝から夜まで木に横たわり、耳を澄ましながら木の鼓動を聴く。しまいには地面の下を流れる水の音まで聞こえるようになる。木の葉が地面に一枚落ちただけで、爆弾が落ちたような大きな音に感じ、びっくりして飛び起きるほど耳が敏感になる。


・レコーディングエンジニア 蜂屋量夫氏のコメント
曲を作るときに大事なのは、ひとつの曲を作るために集まった人の描く曲のイメージがぴったり合うかどうか。イメージが一致して、みんなが「のれた」とき、とてもいい曲ができる。
いい音を作るには、心にいっぱい引き出しがあって、そこからたくさんの新しいイメージがあふれ出てこなくてはならない。ときどき仕事を離れて、心も体もリフレッシュしている。


(2008/5/25記)


音のふしぎ百科〈1〉 (五感のふしぎシリーズ)

音のふしぎ百科〈1〉 (五感のふしぎシリーズ)

  • 作者: 繁下 和雄
  • 出版社/メーカー: 樹立社
  • 発売日: 2002/04
  • メディア: 大型本 

音のふしぎ百科〈2〉 (五感のふしぎシリーズ)

音のふしぎ百科〈2〉 (五感のふしぎシリーズ)

  • 作者: 繁下 和雄
  • 出版社/メーカー: 樹立社
  • 発売日: 2002/04
  • メディア: 大型本

 

 


トコトンやさしい音の本 戸井武司著 [3:音響関連]

音に関する基本的なイメージづくりに役立つ本。

音楽に関する記述はそれほど多くありませんが、オーディオや楽器の音に視点が偏りがちな自分としては、逆に音楽以外にもいろいろな分野に「音」が関係していることを知り、視野が広がりました。



<ノート>

・人に聞こえる音
成人の耳では、4kHz前後の感度が最も高い。
聴感特性のため、低周波数は大出力を出さないと聞こえない。


・聴力検査
耳の健康診断ではオージオメーターを使用。1kHzで30dB、4kHzで40dBが聞き取れるかどうかで判断する。40代ぐらいから徐々に老人性難聴が進行する。


・低周波数の音
低周波数の音は通常は聞こえない。この周波数帯の音の音圧が高いと、不安や不快な感情を引き起こす。


・音色の解析
周波数分析や時間変動など、いろいろな側面から音を客観的に調べる


・うなり
物体の持つ2つの近接した固有振動数により、うなりが発生する。(日本の鐘)西洋の鐘はうなりが小さくなるように調整されている。


・音の分析
音響固有周波数や音響モードなど、空間の音響特性を調べる。


・構造と音響の連成現象
音圧により構造物が加振され振動が生じる場合や、逆に振動により音響空間が影響を受ける場合を指す。


・音の利用
 探針、探傷、移動(超音波モータ)、接着(超音波溶接)、霧の発生、破壊(超音波治療)、洗浄(超音波洗浄)


・快音化
 音圧および周波数帯のバランスをとることで、快音化を図っている。車内の音、各種機器の音など。


・音の伝達
固体伝播と空気伝播がある。固体伝播で固体中を伝播した音が、最終的に音を放射しやすい部分で空気と接触して空気伝播の音になる。


・床の響き
コンクリートと木の床では響きが異なる。木の方が低周波数域の音圧が高くなる。

(2009/4/11記)


 

 

 


『謎解き音響学』山下充康著 [3:音響関連]

音の原理にはじまり、音をめぐる機器、音に関するトピックスなど幅広く話題が取り上げられています。

音に興味があれば楽しんで読めると思います。

わたしは絵を見るのが好きなのですが、「風景画の中に音を想い起こすような情景が描かれている」という一節を読んで、ハッと気づかされるものがありました。



<ノート>

・人の耳の特性
人の可聴レベルは 20~20kHz。3500Hz付近が極大値。耳はこの周波数領域に敏感。鈍感なのは低音領域。

・日本人の音感性
日本の伝統芸能の音は「間」(ま)が大きな役割を演じている。

・浮世絵の中の「音」
風景画の中には、音を想い起こさせるような情景が描きこまれている。

(2007/11/16記)


謎解き音響学

謎解き音響学

 

 

 

 



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