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まるごとピアノの本 足立博著 [3:音響関連]

 

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ピアノの構造と音の関係に興味を持ったので、この本をチェックしてみました。  

ピアノメーカーによりピアノの設計や材料選択に違いがあり、それがピアノの音色や音の反応性の差につながっている点が面白いです。ギターもピアノもスプルースの響板を通じて弦の振動を空気中に伝達する点が共通ですので、ギターの構造と音色を考えるうえでも参考になりました。

 

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<メ モ>

・響板の見方
いい響板は木目が細かく揃っていて、全体に白っぽい色をしている。無垢板か合板かを判別するには、響板を貫通している穴の木口面を観察してみる。(合板は板がサンドイッチになっている。)

響板を軽くノックした時に、コーンコーンと澄んだ音が長く響くのは優れた響板で、ボテッといった音で消えてしまうのはダメ響板。

・音色のチェック
半音階を繰り返し弾いてみて、音色にふぞろいがないか、音質が極端に変わっていないか確かめる。澄んだ音、濁った音、硬い音、柔らかい音が音程によってばらばらに出ていないか調べる。
済んだ柔らかい音か、あるいは澄んだ硬い音がすべての音階で出ていて、それがよく伸びるピアノが理想的。

 

 


 
~ピアノメーカーの音の傾向と特徴~

 

・ヤマハ
とても品質が揃っている点が特徴。タッチはとても滑らかで、多少乱暴に弾いても音が乱れない。
ドイツのピアノにはドイツ伝統の重厚な雰囲気、フランスのピアノにはフランスの粋な香り、イタリアやアメリカのピアノにはそれぞれの明るい気風がある。その点、ヤマハのピアノは渋くて地味な響き。

・カワイ
哀愁をおびた日本的な香りがあるが、同時に色彩があり華がある。

 カワイのピアノ製造工程

 

 
・シュバイツアスタイン
さまざまな特許が織り込まれた手作りピアノ。


・山本DS響板:響棒に手彫りでダイヤモンドカットの加工を施して音響特性を改善。普通の響棒の3~4倍の持続音。


・スパイラル特殊響板:響板に放射状に響棒を配置。低音、中音、高音の音色を均質化。

  

・シュベスター
今日ではルーマニア産の響板が入手困難になったため、アラスカ産のスプルースが使用されることが多いのだが、これはピアノの響板としては少し硬すぎる問題がある。シュベスターでは、入手しにくいが響板としては理想とされる北海道のエゾマツを採用している。

最近ではピアノの音量を増すため、弦の張力を平均90kg程度にまで高めることが多いのだが、シュベスターの場合は平均70kg程度に抑え、なおかつ豊かで華麗な音が出せるように工夫されている。

  

・スタインウェイ・アンド・サンズ
音色は美しく、クラッシックやジャズ、ポップスなどどんな音楽にも対応できるのが特徴。

材料と部品にはすべて響きに貢献するものだけを厳選して使用し、また接合部には木製のダボだけが使用されている。使用される木材は厳選された無垢の木材を約2年間自然乾燥して熟成を待って使用される。

響板には大きな特徴があり、端にいくに従って薄くなるように加工され、独特のクラウン(湾曲した構造)を構成している。

スタインウェイはフレーム(鉄骨)も鳴らせると言われる。

デュープレックス・スケール:弦の前後(駒からピッチピンまでの間、また駒からチューニングピンまでの間)に共鳴する部分を設けている。

  

・C.ベヒシュタイン
美しい音色を引き出すために、タッチに神経をはらう必要があるピアノ。特に低音や中低音はとても豊かに鳴るため、高音や中高音とのバランスを考えながら左手を制御する必要がある。

箱全体が共鳴するため、音の立ち上がりは比較的ゆったりとしていて、そのぶん音の持続はかなり長いというパイプオルガンに似た特性を持っている。

構造的な特徴として、他のほとんどのピアノメーカーのように金属フレームやケースを鳴らすというのをあえて避け、響板だけを純粋に鳴らすよう設計されている。こうする目的は、音の反応をできるだけよくしようというもので、これが音の立ち上がりの鋭さやタッチに敏感だという特性の鍵になっている。

   

・ベーゼンドルファー
響板は、ヨーロッパ産の優れた部材が入手しにくくなり、今日ではおもにアラスカ産のスプルースが使用されるのが普通で、これは響板としては少し堅すぎる点が指摘されているが、ベーゼンドルファーの場合にはいまなおアルプス山麓のフィヒテ(トウヒの一種)が使用されている。

ピアノ全体を楽器ととらえていて、響板だけを響かせるのではなく、ピアノケース全体を共鳴箱として響かせるように設計されている。ただ金属フレームは共鳴体としてではなく、あくまでフレームとして考えて、ここは頑丈に造って純粋に木の部分だけを楽器としてとらえて響かせようという設計。

金属フレームも鳴らせようとするスタインウェイや、とくに響板だけの響きを追求したベヒシュタインとは異なる設計思想。

他社のピアノでは、ケース自体は頑丈な合板をグランドピアノの形に大きな力で曲げて造られるのが普通で、これは弦の張力を支える役目も担っている。しかし、ベーゼンドルファーの場合には、合板は使用せずに響板と同じフィヒテの無垢版がケースにも使用されている。しかも、ケースに緊張を与えないために板の内側に細かい切込みを入れて、いわばダンボール上に成型して、無理に曲げることなくグランドピアノの形に造られている。このような構造だと、弦の張力を支える力はケースにはないため支柱(ピアノの屋台骨)で支えることになるのだが、ベーゼンドルファーの場合には、この部分にも他社のようにカエデ系の堅くて重い部材を使用せず、あえて響板と同じフィヒテを使用して響きを重視した設計になっている。

さらに、フィヒテで張力を支えるために、その支柱の構造は、家の床組みのように頑丈な井桁状に組まれている。また、使用される木材は今日では乾燥室で熱や高周波をかけて短時間で強制的に乾燥させることが多いのだが、ベーゼンドルファーの場合には、約六年間屋外で天然乾燥させて、そのうえ乾燥室で微調整している。

金属フレームについても、鋳造後約六ヶ月間は放置して、材質が安定してから使用している。

 


  

まるごとピアノの本

まるごとピアノの本

  • 作者: 足立 博
  • 出版社/メーカー: 青弓社
  • 発売日: 2002/05
  • メディア: 単行本

 

 



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